胆石について


ある日突然、胆石ですといわれたら... 検診やドックを受けてみたら、胆石と診断された方はけっこういらっしゃるのではないでしょうか。そして病院を受診してみると、痛くもないのに“手術をしましょう”と言われて驚いた方もいるかもしれません。また自覚症状がないのでそのまま放置している方も多いでしょう。このページでは胆石症に関する知識と治療法を紹介いたします。

胆石の治療法

胆石の種類

胆石の症状

胆石の検査法

胆石治療後の再発


胆石の治療法

胆石治療の目的は胆石痛からの解放、さらに可能であれば胆石の消失です。
胆石の治療法は内科的治療法と外科的治療法に分けられます

内科的治療法

1.経口溶解療法
2.ESWL(体外衝撃波胆石破砕療法)

外科的治療法

3.腹腔鏡下胆嚢摘出術
4.開腹下胆嚢摘出術

選択しうる治療法は胆石の種類や大きさ及び、胆嚢の状態によって異なります。
また、無症状胆石の方は経過観察でよい場合もあります。
内科的治療法をうけて胆石の消失した方は数年後に再発することもある点にご注意下さい。

1.経口溶解療法

胆石溶解剤といいますが胆汁酸(ウルソデオキシコール酸またはケノデオキシコール酸)を含む薬を内服する治療法です。これらの胆汁酸は人体の胆汁中にも含まれている成分です。内服することによって胆汁の組成が変化しコレステロール可溶力が増加します。複数個のコレステロール含有率の高い(カルシウム成分の少ない)胆石の治療に優れます。消失率は10〜30%で、消失には石のサイズによって半年から3年位かかります。1ヶ月あたり石の直径が1ミリ程度縮小する計算になります。副作用としては下痢が5%の方に認められます。

2.ESWL(体外衝撃波胆石破砕療法)

<衝撃波を当てて石を砕く>体外から衝撃波を照射して胆石を小破砕片とし、これを消失させるという治療法です。破砕された石は胆管を経由して腸へ排出されます。単数個のコレステロール結石の治療に優れています。消失率は50〜60%で、治療期間は3〜12ヶ月です。通院治療が可能で、一回の治療時間は30分〜1時間程度です。これを通常4週間程度間をあけて数回行います。

3.腹腔鏡下胆嚢摘出術

全身麻酔で気腹下(おなかの中に炭酸ガスを注入して膨らませた状態)に挿入した腹腔鏡に接続したテレビモニター画面を見ながら専用の器械を操作して胆嚢を摘出する方法です。従来の開腹術に比較して侵襲が少ない(傷が小さく目立たない、術後の回復が早い=入院期間が短い)点が患者にとって大きなメリットです。日本では1990年に紹介されて以来急速に普及しました。

4.開腹下胆嚢摘出術

従来から行われてきた胆石の外科的治療法で、現在では腹腔鏡下胆嚢摘出術が困難な胆石患者に対して施行されています。


胆石の種類(分類)

胆石はコレステロール石(純コレステロール石、混成石、混合石)と色素石(ビリルビンカルシウム石、黒色石)とまれな胆石(炭酸カルシウム石、脂肪酸カルシウム石など)に分類されます。

純コレステロール石 球形〜卵形、白色〜黄白色を呈し、通常1個のみ認められる。割面は中心からコレステロール結晶が放射状に伸びている。
混成石 球形〜卵形、数は1個のことが多い。割面で内層と外層を区別できる。外層は厚さ1mm以上あり褐色調である。
混合石 球形〜多角形、数は多数のことが多い。割面で放射状構造と層状構造が混在している。コレステロールが主成分である。
黒色石 金平糖状、砂状、ときに球形の黒色調の小結石で、数は数個から数十個。割面は黒色無構造である。主成分はビリルビン由来の重合体と考えられている。
ビリルビンカルシウム石 不定形〜多角形でもろい。割面は無構造または層状である。主成分はビリルビンカルシウムである。

胆石の症状

胆石痛−心過部を中心とする痛みでしばしば右背部痛を伴います。ほとんどが夕食後から就寝後2時間位の間に発生します。痛みの程度は重苦しい感じ程度から七転八倒する高度の痛みまで様々です。


胆石の検査法

胆石の選別を行い胆嚢機能を評価するために次のような検査が行われます。

腹部単純レントゲン
DIC(排泄性胆道造影)
外科的手術前には胆嚢、胆管の詳しい情報を得るために次のような検査が行われます。
ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)


胆石治療後の再発

内科的治療法では外科的治療法とは異なり胆嚢が温存される(胆嚢を切除しない)ため、再発が問題点のひとつになります。
再発率−完全消失後3年間で約3割に再発を認めます。
再発胆石の治療−再発胆石の大部分がコレステロール結石で胆石溶解剤が多くの場合有効です。
再発時に症状を伴う場合とそうでない場合があるので早期発見のためには胆石消失後も定期的な検査を受けたほうがよいでしょう。


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