前立腺肥大症に対する治療法:泌尿器科:たかの橋中央病院
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前立腺肥大症

前立腺肥大症の治療法

前立腺肥大症とは、60歳前後から80歳までに多く、良性の腫瘍性疾患です。多くの男性では、50歳を過ぎると尿道周囲腺(内腺)が少しずつ腫れて尿道が狭くなり、さらに進むと前立腺そのものが大きくなり尿が出にくくなります。

前立腺肥大症とは

前立腺は男性だけにあり、膀胱の出口にあるクルミ大の臓器で、その中央を尿道が通っています。50歳を過ぎると尿道周囲腺(内腺)が少しずつ腫れて尿道が狭くなり、さらに進むと、前立腺そのものが大きくなり尿が出にくくなります。前立腺肥大症は、60歳ごろから80歳までに多い良性の腫瘍性疾患です。
男性の膀胱、前立腺、尿道の関係

前立腺肥大症の症状

初期:夜間の尿が近くなり、尿の勢いがすこし弱くなります。

中期:さらに尿の勢いが弱くなり、残尿感が出てきます。

晩期:残尿が多くなり、時々尿が出なくなることがあります(尿閉)。

前立腺肥大症の治療

患者さまに合った 選別治療が可能

当院では2014年より経尿道的グリーンレーザーによるPVPを行ってきましたが、2017年7月より接触式レーザー蒸散術治療機(CVP)を設置し、PVPに代わってCVPが前立腺肥大症の手術の中心になっています。さらに、2022年3月よりツリウムレーザー蒸散術治療機(ThuVAP)を設置しております。レーザーによる前立腺肥大症手術は、出血が少なく、早期にカテーテル抜去でき、入院期間も短くできるので、合併症のある高齢の患者さんにも手術可能となりました。これによって、前立腺肥大症の手術は、従来から行っている経尿道的切除術(TUR-P)と、両レーザー機器を用いて、患者さんに合った選別的手術が可能となりました。

1.内服治療

初期から中期の症状の方に適応します。

a) 前立腺部尿道を拡げる薬

b) 前立腺の腫れを抑える薬

症状、年齢に応じて処方しますが、内服治療は症状を改善するだけで、肥大症そのものを治す薬ではありません。

2.外科的手術

当院では開腹せず、低侵襲で患者さんに優しい内視鏡手術を行っています。 中期から晩期の症状の方に適応。年齢、全身状態に応じて以下の種々の手術を行っています。

a) 接触式レーザー前立腺蒸散術
b) 経尿道的ツリウムレーザー蒸散術(ThuVAP)
c) 経尿道的前立腺切除術(TUR-P)

以下に説明があります。

  • 従来からの経尿道的切除術(バイポーラTUR-P):長期フォローが必要な中等度以上の肥大症に適応。内腺をほぼ完全切除が可能ですが、大きい肥大症では出血リスク高く、難易度が高くなります。
  • 接触式レーザー蒸散術(CVP):中等度肥大症(40-90ml)に適している。出血が少なく、カテーテル留置期間、入院期間少ない。高齢者、合併症のある方、抗血栓薬服用中の患者さんにも可能です。長期フォローでは再治療頻度は高くなります。
  • 接触式レーザー蒸散術(CVPx):プローブヘッドが大きく、巨大な肥大症(100ml以上)に適応。自尿、カテーテル解除が目的で、高齢者、合併症や抗血栓薬服用中の中等度肥大症の方にも適応。
  • ツリウムレーザー蒸散術(ThuVAP):長期フォローが必要な中等度肥大症(40ml-90ml)に適応。水に吸収されるレーザーで凝固層が薄く、TURとほぼ同様な手術が可能。術後の経過、適応は、CVPと同様。 これら前立腺肥大症の手術は、良性疾患ですので、できるだけ術後合併症を少なくする事を一番に考え、症例に応じた手術を心掛けています。

a) 接触式レーザー前立腺蒸散術

これまでのCVPの説明ページへ


b) 経尿道的ツリウムレーザー蒸散術(ThuVAP)

ツリウムレーザー 前立腺蒸散術 (ThuVAP)

ツリウムレーザー 前立腺蒸散術 (ThuVAP):

 2022年3月、当院では前立腺肥大症の新しい治療レーザーThuliumレーザー(Quanta Cyber TM;写真)を導入いたしました。 このツリウムレーザー治療は、これまで当院で行ってきたAMS GreenLight HPSレーザーによるPVPや、CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)とは異なった レーザー蒸散治療で、より患者さんへのメリットが期待される治療です。

 ツリウムレーザーは、強い熱エネルギーで瞬時に組織を蒸散させ、同時にその表面に薄い凝固層を形成します(シェーマ)。すなわち、このレーザーは水分子(全ての生体組織に存在する)に対する吸収率が高く、その表面に0.1-0.2mm程度の凝固層を形成し、蒸散効率が手術当初から最後まで落ちなく一定に保たれ、軟部組織を迅速に焼灼/切断しつつも、周辺組織に対する影響が少なくて安全です。最高出力は200Wのハイパワーであり、前立腺肥大組織の強力な蒸散効果と確実な止血効果を発揮でき、前立腺肥大症の手術に適しています。2017年のヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでは既に推奨グレードAと認められている治療法で、2017年日本泌尿器科ガイドラインでもBに認められており、治療適応の幅が拡大し、術後合併症の発生率が低いことも報告されています。

特徴:

  • 内視鏡切除術(TUR-P)に比較し、出血や術後の痛み少なく、早期に尿道カテーテル抜去が可能で、入院期間も短く、普通の日常生活にも早く復帰可能
  • 高齢者、合併症のある方、抗血栓薬服用中の患者さんにも手術可能
  • 勃起機能、射精機能への影響少ない

問題点:

  • 前立腺癌の治療には、使えません。
  • 前立腺組織を蒸散させるので、組織採取はできません。PSA値が高く、前立腺癌が疑われる場合、先にMRIや前立腺生検を行う必要があります。

Thuliumレーザー装置
写真 Thuliumレーザー装置(Quanta Cyber TM)
(画像提供:エダップテクノメド)

治療のシェーマ
治療のシェーマ
強力ツリウムレーザーにて組織を蒸散し、
周囲に薄い凝固層が作られる。
(画像提供:エダップテクノメド)

 

 ツリウムレーザー前立腺蒸散術は、内視鏡を尿道から膀胱頚部まで挿入し、先端からレーザーを発するファイバーを内視鏡内より挿入し、内視鏡で目視しながら前立腺にレーザーを照射し蒸散させます。 すなわち、前立腺組織にファイバーを接触させてレーザー光を照射することで、前立腺組織に高熱を与え、組織中の水分や血液を蒸発させ、組織を気化して消失(蒸散)させてしまう低侵襲の手術方法です。これにより尿道を広げ、症状の改善を図る治療法です(下記イメージ図)。

ツリウムレーザー前立腺蒸散術


c) 経尿道的前立腺切除術(TUR-P)

前立腺肥大症の手術的治療の中で、中心的治療として年間50〜60件と最も多く施行されていましたが、近年PVP手術を始めてから年間15例位に減少しています。 腰椎麻酔で経尿道的に内視鏡を入れ、前立腺の内腺を電気切除して尿道を拡げる手術です。手術時間は腺腫の大きさによりますが、40〜80分、入院期間は10〜12日です。