下肢静脈瘤について:静脈瘤・血管外科
下肢静脈瘤についてのご説明ページです。原因や仕組みをご理解いただけます。
よく、あし(下肢)に「血管が浮いている」といいますが、太くなって曲がりくねった静脈があたかも下肢にできた瘤(こぶ)の様に見える病気です。その原因は、静脈にある弁が壊れたため血液が逆流し、その下の静脈が拡張するためです。運動選手などのあしの静脈が見えるのは皮下脂肪が少ないため正常な静脈の走行が目立つだけで、静脈瘤とはいいません。
静脈瘤には以下のような種類があります。
1.伏在型静脈瘤
大伏在静脈の静脈瘤
小伏在静脈の静脈瘤
2.側枝型静脈瘤
静脈瘤自然破綻による皮下出血を認める
3.網目状静脈瘤
4.クモの巣状静脈瘤
5.合併症を伴う静脈瘤
うっ滞性皮膚炎により色素沈着
うっ滞性皮膚炎により潰瘍形成
下肢の静脈血は筋肉の収縮に伴うポンプ作用と静脈内の弁によって、心臓に戻っていきます この弁が長年の立ち仕事・出産・遺伝的要因などで破壊されて静脈の逆流が生じた結果、静脈が拡張(太く)・蛇行(曲がりくねる)します。 静脈血のうっ滞は、足のだるさの原因となり、その後皮膚の色素沈着や潰瘍を生じます。
静脈瘤の症状
- 足の血管が浮き出てみえる
- 足がむくむ、痛む、だるい、重い、疲れやすい
- 足が熱い、逆に冷たい
- あしがつる(特に寝ているときに多い)
- あしがかゆい
- 治りにくい湿疹がでたり皮膚が黒ずんでみえる
- 足に潰瘍ができている
- よく赤く腫れる
静脈瘤危険因子
- 性別:女性に多い
- 年齢:加齢とともに頻度は増加する
- 遺伝:遺伝疾患ではないが、親や姉妹に静脈瘤がある人は生じやすい
- 妊娠:妊娠、分娩をきっかけにできやすい
- 立ち仕事:調理師、理髪師、工員など立ち仕事に従事する人に多い
静脈弁の働き
静脈の弁は一方向へ血液が流れるように働きます。
具体的には心臓に戻る向きにはスムーズに開き、
血液が足先に逆流しようとすると閉じます。
この弁のおかげで立ったままでも
血液が心臓に戻れます(静脈還流)。
(「平井正文:下肢静脈瘤=原因と治療=」より一部引用)
弁不全による逆流
静脈弁が壊れると、重力により血液は足先へと逆流し、
この圧により静脈は拡張し静脈瘤となります。
(「平井正文:下肢静脈瘤=原因と治療=」より一部引用)